第一三共株式会社
人事部 人材採用グループ 辻 貴司 様
2003年、三共株式会社(当時)に研究職として入社。約20年にわたり、低分子創薬を中心とした業務に携わる。2023年、社内公募制度に応募し、人事部に異動。現在は新卒採用のチームリーダー・担当者として、学生に研究職、データサイエンスの魅力を伝えることに注力している。
(所属・内容は取材当時のものです)
まずは改めて、貴社の事業についてご紹介いただけますか。
当社は「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」というパーパス(存在意義)を掲げ、新薬創出を主事業として展開する製薬会社です。サイエンス&テクノロジーを強みとしており、研究開発力では国内屈指を自負しています。一般の方には「ルル」などのOTC医薬品でなじみがあるかもしれませんが、こちらは売上の数パーセントにすぎません。医療用医薬品、特にがん領域で当社の医薬品は高い評価を得ています。
貴社では数年前から採用管理システム『i-web』をご利用になっています。導入の背景を教えていただけますか?
以前は別の採用管理システムを使用していたのですが、業務効率の面でいくつか課題がありました。たとえば、面接のたびに学生の資料を印刷して面接官に渡すという作業にはかなり時間がかかっており、業務のペーパーレス化が急務となっていました。
『i-web』を選定した理由は何でしたか?
まず、大きな理由として挙げられるのが、製薬業界での導入実績が豊富であることです。多くの製薬企業や医療系の企業が使っているということは安心感につながりましたし、製薬業界特有の採用課題を踏まえたサポートが受けられることも魅力でした。また、応募者管理、イベント案内、選考、さらに内定者フォローまで全工程を一貫してカバーできる点も、決め手の一つです。効率化のみならず、採用の質の向上が目指せると期待し、導入を決めました。
『i-web』の導入後、解決できた課題や、メリットを感じられている点があれば教えてください。
面接に使用する学生情報は、面接官に配布したアカウントから画面上で閲覧できるようになりました。そのため、ペーパーレス化を実現すると同時に、採用担当の工数を大幅に減らすことができました。また、学生が利用するマイページの構成も非常にわかりやすいので、応募者に対する配慮という点も以前より改善されていると思います。
貴社では、ヒューマネージの担当者がさまざまな採用業務の代行やアドバイスを行うRPO(採用プロセスアウトソーシング)サービスもご利用いただいています。このサービスを導入した背景を教えていただけますか。
新卒採用の業務内容は時期によって常に変化し続けていくものですが、私たちのように少人数の採用チームでは、目の前の対応に追われがちになるものです。また、当社の場合、採用担当者は必ずしも採用のプロフェッショナルではありません。研究職やMR出身のメンバーがほとんどですので、社内に蓄積されたノウハウだけでは不十分な場合がります。そこで、年間を通して「この時期にはこうした準備をしておいたほうがいい」といった助言や業務の代行をしてくれるパートナーがいてくれれば、長期的な視野を持って採用企画の立案や分析などのコア業務に注力できると考えたのです。
RPOサービスを利用することで、具体的にどのようなメリットがありましたか?
まず、採用業務の代行サービスについていうと、システム上における応募者の条件グループの設定やそれぞれに対するメッセージ送信などをお願いしています。特に、当社では研究職、データサイエンス、開発職、ファーマコビジランス職、MR、コーポレートスタッフなど細分化した職種別採用を行っているので、学生のグルーピングがかなり複雑なものになります。ざっと800~900ほどのグループをつくり、対象者ごとに適したフォローをしていくのです。これを『i-web』を知り尽くしたプロの方に丸ごとお任せできるのは、相当な工数削減とミス防止になっていますし、製薬業界特有のニーズに正確に対応いただけるところもありがたいですね。また、それ以外にもコンサルティング的なご提案も積極的にしていただいています。
例えばどのような提案を受けましたか?
現在の採用市場、特に製薬業界のトレンドを押さえたアドバイスを常にいただけています。特に、製薬会社への応募が多い、薬学生の特性に合わせた企画提案はありがたいですね。また、年間の採用活動の終了後には分析レポートの作成とフィードバック、さらにはこれを踏まえた次年度施策についての提案もしてもらっています。
『i-web』およびRPOを活用することで、どの程度工数が削減されたとお感じですか?
こまごまとした応募者管理にかかわる業務はほとんどせずに済んでいるので、相当工数が減っていると感じています。最近、当社ではキャリア採用にも注力しているので、人事部はそちらにもマンパワーを割くようになりましたし、新卒イベントの数もどんどん増やしています。おそらく一人当たりの業務量は倍ぐらいになっているはずなのに、残業は増えていない。ということは、『i-web』導入前より生産性が倍増していると言えますね。実際、現在の採用チームの業務は効率化されており、将来を見据えた採用戦略や新施策の立案、応募者のフォローといった本質的な業務に集中できていると感じます。
貴社では、採用コンテンツを簡単に制作できるCMS機能もご利用になっています。こちらの所感はいかがでしょうか。
企業や社員の魅力をより深く伝えるため、登録者のみ閲覧できるマイページコンテンツは徐々に拡張しており、これらのサイトの制作にCMS機能を活用しています。当社の場合、制作自体は外部のデザイン会社に代行してもらっているので、私たち自らCMSを操作する機会はないのですが、出来上がったサイトを見るとデザイン・機能ともにプロ仕様のクオリティが実現できているので、CMSとしての性能は非常に高いのだろうと安心しています。また、「こういうコンテンツがあったら仕事の魅力がよりわかりやすく伝わりますよ」といった提案もヒューマネージ社からいただけているので、魅力的なコンテンツを確実に増やせていると感じます。
最後に、今後『i-web』を利用してどのような採用を実現していきたいか、抱負をお聞かせください。
ニュースや新聞で取り上げられているところによると、今の学生の半分が生成AIを使ってエントリーシートを作成したり、面接練習をしたりしているというデータもあるそうです。そうした準備をしている学生の本質を見極めるためには、我々の側もAIを導入する必要があるでしょう。『i-web』からも定期的にさまざまな新サービスが出ているほか、世の中の採用サービスやツールとの連携も多くしている点は、これらの取り組みを推進してくれるものと期待しています。こうした技術を積極的に導入することで、時代の変化にしっかり対応していきたいと思います。